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買う幸せ作る喜び

正直言って、自分の中で良く整理のつかないことがある。
満足感ってどうやって得ているのかなーってこと。

私はいわゆる団塊ジュニアってやつで、物、サービス、全て良いものは自分で稼いだ金で買って買って買いまくる・・・っていう生き方をごく普通に周りから学んできた世代だ。といっても、うちの両親の名誉のために書いておくけど、決してゴージャスな生活をしてたわけではなく、たまにおいしい肉を買うとか、それなりのブランドの洋服がバーゲンで安いからたくさん買っちゃったーとかそんなごくごく普通の生活レベルだったけど。やや、ブランドといってもシャネルとかグッチとかそういうのじゃなくて、日本で縫製されたシャツはやっぱりいいわーというレベル。

んでさ、あるときダンナが言うのよ。
「ここっていいものはひとつもないよね、何も買えない、サービスも受けられない。」
それはいつも私がぐちぐちと飽きもせず愚痴っていることなんだけど、人に改めて言われてみると、なんとなく考えてしまう。

「んー、だけどたまねぎはいつもやわらかくて甘いし、ジャガイモはねっとりコクがある。にんじんだって昔の畑で取れたくさーいにおいがする。粉類は精製しすぎず、ありとあらゆる種類のものが普通のスーパーで手に入る。食材に関しては東京で暮らすよりはよっぽどいいものが手に入るんだよね。ああ、スパイスは安いね。」

「確かにね。税金は高いし、衣料品は安くて高い、食費だって高い。だけどMRIとか診察費は、会社が持ってくれたり保険が出るから払わなくていいんだよな。」

「医療は、プライベートのお医者さんに行ったほうがいいサービスが受けられるみたいだけどね。ま、日々の生活に関しては、素材は揃っているから、いいと思うものは自分で作り出せっちゅーことですわ(洋服はあきらめるとして)。」

そゆわけで、食事は自分でなんとかうまいものを作る、これが基本。パンはお店で買っても十分おいしいんだけど、こっちじゃ時間がたくさんあるから、自分で作って焼き立てを食べるのが一番おいしい。こっちに来た当時は、自分でパンを作るなんて考えられなかったけど。ダンナが買った天然酵母のパンの本、長い間本棚で寝ていたけれども、ここ1ヶ月大活躍、自家製酵母でパンを土日に焼いている。

私の使っている酵母は2種類で、ひとつはレーズンからとったもの、もうひとつはバターミルクとライ麦で作ったもの。レーズンから作る酵母は、本を見てほぼそのとおりにやっている。ライ麦の方は、ライ麦にバターミルクをまぜておいておくだけ。時々リフレッシュしてやるだけで、勝手に酵母になってくれる。

バターミルクってのは、バターたっぷりの牛乳・・・じゃなくて、バターを作るときに浮いてくる水分と乳清で出来ている。こちらでは、piiimaって名前で牛乳パックに入って売られている。乳酸菌には種類がたくさんあるんだけれども、その中から使われている乳酸菌の種類がパックに書いてある。AとかABとかだ。味の違いはよくわからんが、それにお約束の脂肪何パーセントみたいなのが書いてある。私は1%と書いてあるやつがお気に入り。味は、ヨーグルトの薄くてできそこないみたいな感じ。多分ヨーグルトでも同じような酵母ができると思うけど、piimaの方が、味がまろやかで好きだ。日本では一般向けにはあまり売られていないみたいっすね。スタバなんかにはpiimaで作ったお菓子がおいてあるみたいだけど。これ、製菓業界では常識のアイテムで、パウンドケーキなどに使うと、ふんわりしてなかなかいいんだぞ。

そんで、パン作りなんだけど、天然酵母でできたパンは、ずっしりもっちり、しかし出来立ての食感は軽いという不思議なパンが出来上がる。発行時間が、家庭用の1斤サイズで6,7時間くらいかかるので、夜仕込んで朝成型できるなど、結構家庭向きの料理だ。粉がゆっくり分解されていくせいか、かめばかむほど甘いパンで、すごく味わいがある。リーン(食事向きということ)なパンに最高で、これ、岩のりをつけたり、生姜味噌をつけたりしてもめちゃくちゃうまい。

一年前を思い出す。そういえば、砂糖が少ないパンを食べなれないせいか、なんか北欧のパンを見るのが嫌になって、ダンナなんかはせっかく作ったサンドイッチも気持ち悪いといって捨ててたっけなぁ。それが、今は無類のリーンなパン好きに。

私が作れるパンは、カンパーニュと食パン(パンドミ)が基本で、ただいまフランスパンの練習中なんだけど、味はまぁまぁ・・・でも、クープがきれいに開きませんから!2次発酵時間や水の加減やらがとってーも難しくて、クープじゃないところが割れてきたりとか、横にパンが広がってデブバゲットになっちゃったりとか。

だけど、自家製酵母を作るきっかけとなった(ここにもリンクを張ってあるけど)つくばのダビットパンというパン屋さんのパンのように、一応大小さまざまな穴がパンに開いてる。いや、もうほんとあそこのパンは私にとってネ申!長らくフランス人の友達に、日本食の作り方を教えてくれといわれ続け、やんわり断ってきたけど、ごめん、フランス人、あんたはフィンランド人とは舌の解像度が違うよ、教えるよ、ってなわけで今週末料理教室もどきをやる決心がついた。そんなくらい衝撃的な事件だったんだよー。

いやいや、それにしても日本ではパン食が根付かないって理由が分かるよ。GHQが小麦を売りまくるために、給食にパン食をとりいれたって話を聞いたことがあるけど、あのまずいカンパンもどきのコッペパン、いまとなっちゃ懐かしいいい思い出だけど、あんなもん幼少のみぎりより食わされてたらトラウマにもなるわ。それにパン屋やコンビニには菓子パンの多いこと。砂糖、バター、生クリームが生地に入りすぎ。

まだまだパンに関しては日本は、発展途上国根性丸出し。クリーム、甘さ、やわらかさが一番。すこーしずつ変わってきてはいるし、いろいろな食の好みの人がいるからこそ、日本は良いのだけれど、一般論ね。もっと食事パンのおいしさを感じようぜ。ま、土壌や気候にあまり合わないというのはあるかもしれないけれど。

話はずれちまったけど、金で質のいいものが手に入らないってなると、すごーくストレスがたまる。多分私はやっぱり都会の人間で、お金を出して出しただけのものを手に入れて、満足するタイプだ。1年ちょっとの生活で身にしみて分かったよ。そして、それができないってことが私の最大のストレスってこともね。けれども、ないならないで自分で作ってみる、そういう時間の費やし方も学んだ。ぼーっとしてたら何もしないうちに年取って死んでしまう、ゆったりと時間が流れる場所にいればいるほど、そういう焦りばかりが生まれる。

結局私、無駄に走りっぱなし。そんな自分を認めると、少しずつ肩の力が抜けてく。

日本は物があふれすぎてるってしたり顔でいう輩がいっぱいいるけど、私はそういう風に批判する気にはなれない。フィンランドでの暮らしも、日本での暮らしも、どっちも大切で、その土地にあった暮らしがあると思う。私はきっとまた都会に戻るんだろうなということも分かっている。
by yahji_sali83 | 2007-12-10 16:07 | 過去(北欧時代)
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