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女衒に売られると奴隷

久しぶりに怒った。

ことの発端は、引っ越しをするために、契約を短縮して早めに会社を辞めさせてほしいと申し出たことだ。
人売りITの話は良く聞いていたからすんなり行くとは思わなかったが。
社長にその旨を連絡すると案の定
「ペナルティーを払わなければ・・・考え直してくれないか?」
それに、いやですと返すと、
「なに?外国に行くの?介護?次の職場が決まった?」
と、高圧な態度。
「いえ、ちがいます。」
と返すのみ。
「最後まで務めるの、難しいですね・・・。」
と答えて、理由という名の言い訳は一つも言わなかった。
つか、理由は「もううんざり」なんだが。

次の日、電話がかかってきたようなので折り返すと
「ちょっとまって!」
三者通話にされ、人事のねーちゃんが
「先方の契約が、親会社との契約とつながっていて、それを切るとなると、たくさんの承認作業が必要で、連日会議になるんです、それから・・・。」
ほー、オマエ、どっちが立場が上か分かってないようだな。戦力外だ、下がれ。と心の中で吐き捨てた。
と、まずいなと感じたらしい社長が
「・・・いや、いくつか話が混乱しているので、整理したい。」
と言いつつ、同じことを「先方からの要望」として私に話した。社長の言い分では、先方はうちの会社のようにフレキシブルに対応ができない。うちは労働者の権限として一か月前に辞めると言われたら、それは止められないのだが」まぁ、妥当な説明だ。だが先ほどから先方だの何だのって、契約しているのはアンタであって、私はアンタに売られて売春か傭兵してるのと一緒だっつの。

自分と相手の会社との利害が一致しているので、お前が我慢しろとしか聞こえない。
・・・いままで従順だったからな、何言われてもおとなしく聞いていたからな。でもな、いいか、海外で現地採用された女をナメるんじゃねえぞ。
ブチっと頭の中で音がした。

「さっきから先方が先方がとおっしゃってますがね、自分たちの都合ばっかり押しつけているじゃないですか。なに、あたしは従業員だからおとなしく言うこと聞けと、お前には人権がないと言うことなんですね。」
相手はたじろいだようだ。人事のねいちゃんがはっと息をのんだ声が聞こえた。
「いや、こちらとしては強制できないので、お願いしてるんだが。余った有給は4月以降に回してその分の給料も出しますよ。要するに相手も金の問題があるし、お金で解決しましょうということです。」

そういうと喜んで納得すると思ったのか?あーあ、すっごくいい提案したと思ったんだろうな。というわけですかさず
「4月以降?契約を続けることですか?」
とすっとぼけてみた。そうすると、バカにしたような声で
「ですからね、先方との契約は切って、うちの会社に所属して4月10日くらいに退社するんですよ。ボーナス分も上乗せになりますよ。」
というので、心の中でガッツポーズをしながら言い返した。

「あのー、4月まで社員っていうことは、有給休暇がリセットされてまた20日付くんですが、大丈夫なんですか?」
想定外の返答に相手はしばらく押し黙った。東大院卒の50代をうならせた。うーん人生の快挙はこれで終わりそうだお(しょぼイ)。
「とにかく、こちらがお願いしたいことは・・・」
と先ほどの話を繰り返し
「というわけで、48時間以内に返答を頂きたい。」
「分かりましたが、あまり選択肢はないようですね、フフン。」
と言い返しておいた。

最終的にこちらが折れることになるだろうと思った。自分の会社の社長をいじめても、彼も立場の弱い人間なんだし、小さい会社の社長にしては珍しくモラルが高く、正直な善人なので、彼のことは正直嫌いではないのだ。だけど、舐められると人はどんどん理不尽なことをしようとする。今回のポイントは、
「あまりふざけたことをすると、法的手段に訴える用意がある」ということを、言葉で言わずににおわせることなのだ。叩けばホコリが幾らでもでる。命令系統、雇い方、そして法律的には内容証明で退職届を出せば従業員は2週間後に会社を退職できる。又、いざとなったら会社都合の解雇にしろと行ってやろうかとも思っていた。

あんまり待たせるのも、こちらとしても気持が悪いので、次の日にすぐ電話した。
「あの、事情は良く分かりましたので、3月31日まで続けます。会社との契約も31日まででいいです。」
というと、
「いや、有給の分は4月以降も払う。」
そんなことより、こっちは一日でも早く辞めたい。有給を就業中に使い切るつもりなんだが。
「えっと、有給そんなに残るか分からないですし、万が一次が決まった場合契約が足かせになると思います。」
「そんなのは相手の会社に言えばいいんだよ。」
・・・いや、その手にはのるまい。ていうかアンタってなんでそんなに世の中に疎いんだ?それとも私を陥れようとしているのか??
そういうわけで、有給分退職日を伸ばすかどうかという話は先延ばしになった。
わりーけど、欲をかいて小市民がいい目を見たという話はついぞ聞かないので、多分辞退するだろう。というか、仕事関係で恩を売られるのはすごくいやだ。
なので、
「じゃぁ、また後で考えます、今回はご迷惑をおかけしました。先方へのご連絡、よろしくお願いします。」
とおさめた。

で、何を報復されるか分からないので、退職届は今は出さず、3月半ばまでとっておくことにした。理不尽なことをされたら明日にでも退職届出すぞという意思表示だ。
そして3月31日にスパっと辞めるために退職届をその2週間前に内容証明で送付する。
前、日本を出る前に、辞めさせないという嫌がらせを受け、その時は何も知らないバカだった私は、おろおろと人事に相談するのみだった。
あの苦い経験が今頃役にたつとは・・・もう最後にしたい。
by yahji_sali83 | 2011-02-17 22:54 | 日本企業戦士
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