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北欧にて、自分の居場所ができるまで

私はソフトウェアのエンジニアで、海外留学経験もなけりゃ、英会話教室にも通ったことない、ごくごく標準的な日本人の女です。
いや、海外旅行すら、会社の出張で初めて(正確には弟と一緒に友達の結婚式に参加したのが初めてだけど)なので、標準以下かもしれん。
自分の好きな話題だとべらべらしゃべるくせに、人の輪が苦手で、いつも人から話しかけられるのを待っているタイプ。
人に物事を尋ねるにしても、「ああ、こんなこと聞く前に十分調べないといけない、どうしようどうしよう」、スーパーでお魚買うにしても「英語(超へたくそ)通じるか分からないし、無視されたらどうしよう、いいや、また今度」。
そのくせ、家ではえらそうに理屈を並べ立てて、騒ぎ立てる、まぁごく平均的な、もしくは平均以下の、親には申し訳ないができ損ないのバカな娘であり、妻であり、会社人です。

そんな私でも、海外で働いてみたいという思いが、ダンナと一致し、からくも開発チームで働かせてもらえることになりました。そしてめでたくも、一年間耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、なんとなくまだここで、働いたり、バイクに乗ったり、ジョギングしたり、料理したりしてます。

会社で、自分の居場所があって、ある程度信頼されるようになったなーと思うようになるまで、一年もかかっちゃいました。
生活リズムもやっと整ってきたし、英語で電話もできるようになったし、問題があったら、同僚に相談できるようになったし、誰にどんな相談をしていいかも分かるようになってきましたし。

なんで、逃げ出さなかったかっていうと、ひとえに「自分の希望でここにきた」っていうことが前提に挙げられます。ぐちぐち、いつも不機嫌で、くらーいイメージの私。環境が変わったってそんな性格変わりゃしません。むしろ、慣れない生活のせいで、そういった負の性格は、自分の身近な人間に対して、最大限発揮されます。よくもまぁダンナに逃げられなかったもんだ、とも思いますが、まぁこれはお互い様ってところが大きいからかもしれないわね。

実のところ、私はどんどん前にもまして、精神的に強くなってきてしまって、多分一人になっても生きられるかなぁなんて思っちゃったりもしてます。社内では、あまり感情をあらわさず、ひかえめでおとなしいような印象で通っていますが、ひとたび自分で決めると、最後まで主張を通す、周りに左右されない、結果は行動でしめす、というどこにでもいる日本人として、働いております。そこまでカッコいいかどうか分かりませんがね。

こういう典型的日本人タイプは、しゃべったもん勝ちの西欧社会、(中国やインドもそうだね)においては、最初のうちはとっても信用されません。何を考えているか分からないし、自分に自信がなさそうだし、仕事をさせようにも、本当にまかせていいのか不安になってしまいます。加えて、こちらの人からみたら、なよなよしく、すぐに病気で倒れてしまいそうな第一印象。

そんななかで、この一年、一番私が気をつけてきたことといえば、まず第一に健康があげられると思います。なるべく外を歩いたり、走ったり、食べ物は外食は非常にまずく、栄養も悪いし、高いので、ひたすら自炊。健全な体に健全な魂が宿り、そのまた逆もしかりです。おかげさまで、周りの男性たちが、インフルエンザでばたばた一週間も休む中、一度も風邪らしい風邪にはかかっていません。たまに体調不良で休むことはあるんですけどね。

少なくとも、見た目と違ってこいつ健康そうって思われると、それだけでなんとなくプラスポイントになるもんです。いい加減に会社を休んだり遅刻しないっていうことは、どこの国でも、一定の信用につながります。仕事に慣れてくれば、あの人は風邪を引いても家で仕事するから、とか、ほかの人に必ず仕事を任せるから・・・なんてこと、分かってもらえますが、なんせ、働く環境の中には、日本人がおりません。だから、気軽に誰かに連絡して、そこからうわさが伝わって、なんとなく仕事が進んでいくなんて100%ないのです。

加えて、フィンランド人は、こっちが何かを言わない限り、放っておく人種。黙っていると、本当に時だけが過ぎて行ってしまうもんです。だから、時々ものを聞くにしても、なるべく「ここまでやったんですけど」とか、自分で考えているということを前面に押し出してきました。というのも、ここの職場にはインド人がとても多いからです。彼らはとかく大騒ぎします。どうでもいいことでも、いちいち報告するので、なんだかものすごく仕事をしているような印象を受けます。でも、フィンランド人の中に、彼らを見下しているようなしぐさが、時々見て取れたので、そういう風には思われないぞってかたく自分に誓いました。案の定、最初のうちは、日本人なんてみたことないような連中がほとんどの環境です。アジア人ってことで、同じように分類されてしまっていたようです。つまり、自分では責任をとるような仕事はしたくない、とか、上司にこびるだけこびる、自分の都合で意見を返る、監視していないとなにも仕事しない(インド人の中にも、やたらテンション高く仕事をするタイプと、おとなしいが、使えない人がいます)等。

後は、情報や風のうわさが入ってきにくいという辛さがあります。インド人もフィンランド人もやたらと群れたがる性質、ああ日本人も一緒でしたね。群れていないと、なかなか必要な情報が手に入ってこないということもあります。これも慣れで、本当に大事な仕事なら、後々誰かが必ず情報をくれるようになります。最近では、余計なノイズが頭に入ってこないので、偏見なく仕事ができ、それが心地よくさえあります。

さて、どうでしょう、フィンランドで働くとき、多分あなたはインド人の存在に相当頭を悩まされるでしょう。いちいちこちらの動きをチェックして、上司にちくちく報告するのです。だんだん仲良くなってくると、まぁそこまではされなくなるのですが。インド人にとって、アジアの女というのは、最下層に位置します。まぁこれは世界どこにいっても一緒でしょうけどね。

それと、北欧は男女平等だっていうけど、それは法が無理やりそうしているのであって、依然として女性エンジニアの数は、2割にもみたない数値。だから、ありとあらゆる幻想は捨てたほうがいいです。

もうひとつ重要なのは、時間の流れが変わること。こちらは、ワークシェアリングという考えが浸透していまして、日本人から見ると、働かない。まぁデッドラインが近いとなると、夜中も働きますけどね、5時まで会社にいたら相当遅いほうです。それで、夜がとても長いということになります。加えて、主な店は6時には閉まるし、スーパーもせいぜい9時です。コンビにもそうです。そうなると、何をやっていいのか最初は途方にくれるでしょう。テレビもつまらないし。

それでも、人間なれて、だんだん生活基盤ができてくるものです。そんなこんなで、やっと私も安定期に入ってきたかなぁといったところです。
とりとめもない文章で、まとまりもありませんが、落ち着いて振り返ってみて、なんとなく書いてみました。

てゆーか、はやくソフトのリリース終われよー!!(今日は、同僚が出張なので、身代わりリリースしてる)
by yahji_sali83 | 2007-09-21 21:31 | 過去(北欧時代)
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